初めまして。近石壮登と申します。
私は、岐阜市にある近石病院に勤務しております。
近石病院の歯科・口腔外科では、「食べるにとことん向き合う」をコンセプトに、言語聴覚士や管理栄養士をはじめとする他の医療専門職と一緒に「安全な食の提供」を目指しております。私たちの活動は病院内や高齢者施設やご自宅に伺う「在宅診療」の場、またカムカムスワローなどの地域の場などで積極的に活動しています。

地域医療に携わる中で、食べ物を噛んだり、飲み込んだりする力が弱い「嚥下障害」のある方は外食する機会や社会参加が制限されやすく、”もっと外食を楽しんでもらえる機会が作れないか？”　”地域を盛り上げるきっかけにならないか？”と考えるようになり、このプロジェクトを立ち上げました。








食べ物や飲み物をかんだり飲み込んだりする機能が低下した状態を摂食嚥下障害（以下、嚥下障害）といいます。
嚥下障害は、全国的に100万人以上いると推測されており、高齢社会になるにつれて増加傾向です。病気になって起こると考えがちですが、他人事ではありません。

実は、加齢（年をとること）によって喉の筋力が低下し、起こることもあるのです。また高齢者だけではなく、医療的ケア児などの当事者も少なくないです。






嚥下障害がある方は、ミキサーにかけた食事や柔らかい食事、とろみがついた飲み物などを摂取するケースが多いです。

そのような方は、ご自宅では、自分で調理をする、ヘルパーの利用、宅配弁当、ネット販売、市販のレトルト食品などで食事摂取を行っています。

一方、嚥下障害がある方が外食するハードルは非常に高く、社会参加の制限がみられます。

その背景として、
☆飲食店で嚥下調整食を提供している店舗が少ない
　・嚥下調整食の作成方法が分からない
　・嚥下障害患者への対応方法が分からない
　・手間がかかり採算が合わない
☆バリアフリーな構造ではない

などがあります。
都市部では、徐々に嚥下調整食を提供する飲食店が増加傾向であるものの、岐阜県をはじめ地方においては皆無に等しいです。
そのような現状に対し、嚥下障害の方でも外食できる機会を増やしたいと思い、歯科医師が中心となり昨年12月にカムカムスワロー(以下、カムスワ)を立ち上げました。











「comecome swallow」は、「噛む」と「come（来る）」、そしてswallowは名詞では「燕」ですが、動詞では「飲み込み」という意味があります。
そのため、「燕」をカムカムスワローのデザインとして採用しています。

さて、カムカムスワローはどのような所かと言いますと、





になります。
「モーニング文化」が盛んな岐阜の地域性を活かし、嚥下障害のある人もそうでない人も一緒に食事を楽しめるカフェスペースを軸に、シェアキッチン、イベントホールも併設することで、様々な交流が生まれやすい「場」が生まれました。
​ホームページ：https://comeswa.jp　

※栄養ケアステーションとは
日本栄養士会が認定する、栄養ケアを地域住民の日常生活の場で実施提供する仕組みとそのための地域密着型の拠点のことをいい、全国で356拠点（岐阜県内6拠点）あり、近石病院は岐阜県下の病院では初めての認可を得ました。

カムカムスワローの具体的な活動内容をご紹介します。

①誰でも利用可能なカフェ

カムカムスワローでは、カフェの営業を行っております。
一般の方もご利用可能なことに加えて、嚥下障害がある方など誰でも利用しやすいカフェです。また、バリアフリー構造となっており、車いすでも入店可能です。
”管理栄養士が常駐”しているため、オーダーに応じて嚥下調整食の提供が可能で、他県からも嚥下障害の方がモーニング利用で訪れ、交流の輪が広がっています。



これまでに20名程度の方から嚥下調整食のオーダーがありました。
その一例をご紹介します。

90代、誤嚥性肺炎が既往にある高齢者とそのご家族の来所
施設入所中で他の病院受診の帰りに車いすでカムカムスワローへ。

そのご家族より、

「岐阜市内で嚥下食がたべられる所をずっと探していて、なかなか見つからず、今回、カムカムスワローさんで食事ができて本当に良かったです。母は普通食が食べられず、一緒に食事をするのはもう無理かなと思っていたので嬉しいです。」

といった心温まるコメントもいただきました。
このように、嚥下障害がある方でも外食できるような希望の光の存在であり続けたいと思います。



 

②食・栄養に関する相談

常駐している管理栄養士にいつでも栄養相談を受けることができます。
これまでに糖尿病、ダイエットや嚥下障害がある方の食事相談がありました。
また、スポーツ栄養士も在籍しており、スポーツに関する相談も可能です。




 

③セミナー・イベント開催

セミナーイベントも定期的に行っています。
高齢者を対象とした「介護予防教室」、一般の方を対象とした「手話講座」、お子様を対象とした「離乳食相談・食物アレルギー相談」など、これまでに様々なセミナーイベントを企画・運営してきました。


 

④シェアキッチンの企画・運営

シェアキッチンの企画・運営をしております。
誰でも使用可能なシェアキッチン（使用時の条件等あり）を使用して仕込みはもちろんのこと、カムカムスワローのお客様に販売も可能です。


 

⑤その他の販売

栄養補助食品や口腔ケアグッズなどをはじめ、専門的なものの販売も行っております。
加えて、地域の方が作成した無農薬野菜、お菓子などの販売も行っています。






健康寿命増進のためには、嚥下障害の方が社会参加しやすい環境づくりが必要であります。カムカムスワローの取り組みはSDGsの3番目の目標である「すべての人に健康と福祉を」に該当し、嚥下障害を抱える方々が食事を十分に楽しむことができるように支援することで、その目標の一部を実現しています。

カムカムスワローは、「食べるを通じて、医療と地域をつなぐ場」として常に進化している段階にあります。




カムカムスワローで嚥下調整食の提供は可能となりましたが、「もっと多くの店舗で提供できる環境を作りたい」という私たちの想いがあります。
それを実現すべく、私たちは動きだしました。

現在、２店舗にご協力いただき、嚥下調整食の開発を行っています。
快くご協力いただいた店舗は、以下の２店舗です。





 BISTRONOMIE TKM（岐阜県神田町）

https://www.bistronomie-tkm.com

Natural Base（岐阜県美殿町）

https://natural-base.jp

両店舗ともに嚥下障害とは聞いたことはあるけど、詳しくは分からない、嚥下調整食の作成方法が分からないといった状況でしたので、両店舗に対して、飲み込みの専門である当院の言語聴覚士と株式会社フードケアの介護シェフより、
☆嚥下障害とは何か
☆嚥下調整食とは何か
☆嚥下調整食の作成方法

についてお伝えし、また嚥下調整食の試食も行ってもらいました。



今後は、各店舗で嚥下調整食の試作を行いつつ、専門家が食物の物性評価を行い、実際にカムカムスワロー等で嚥下調整食の提供を開始していきたいと思います。

と同時に、おしょくじ手帖の開発も現在行っております。




嚥下障害の方が食事をする際には、以下のことを考慮しなければなりません。
☆どのような食事を食べているのか
　嚥下調整食には、丸呑みできるもの、舌と歯茎でつぶせて飲み込めるもの、
　咬まないと飲み込めないものなど様々な種類があります。
☆水分のとろみ具合はどの程度なのか
　飲み込みが悪いと、水分にとろみをつけることが多いですが、とろみの濃度によっても飲みやすさが異なってきます。
☆どのような姿勢で食事を食べているのか
　食事姿勢も飲み込みに影響してきます。

しかしながら、ご家族様と一緒に来てくださったのは良いものの、普段は施設に入所しているため、ご家族様が施設でどのような条件で食事を食べているか分からないケースも多いです。
そこで、どこでも共通認識を持っていただけるようおしょくじ手帖の開発に着手しました。

飲食店での嚥下調整食の開発を進め、岐阜で嚥下調整食を提供できる場所を増やすと同時に、おしょくじ手帖の開発と普及を目指していきたいと思います。
そうすることで、インクルーシブな社会の実現を推進する一助になるのではないかと思っています。

冒頭でも述べたように飲食店で嚥下調整食を提供するには、手間がかり採算が合わないのが現状です。
ただ、嚥下障害があっても外食できる飲食店を作ることは障害がある方の社会的孤立の緩和やインクルーシブな社会の実現に繋がります。

今回、皆様にご支援いただく支援金の使い道は、主に嚥下調整食の材料費・開発費、おしょくじ手帖の作成費（デザイン代、印刷費等）に使用させていただきます。また今後、嚥下調整食を提供できる店舗を増やし、さらには、飲食店のみではなくホテルや旅館などでも嚥下調整食が出せる環境を作っていくための費用にさせていただければと思います。

なお、リターンに関しては、11月以降に随時、行なっていきます。






医療法人社団登豊会さまは近石病院を中核とした老人保健施設サービスや在宅サービスを提供する総合医療機関です。医療法人社団登豊会さまは近石病院が開設された昭和38年11月以後、「和顔愛語」を理念として掲げ、質の高い医療で地域社会に貢献されてこられました。
カムカムスワローは『「食・栄養」を通じてこの地域を元気にしたい』との思いのもと、新たに建設されたもので、公益社団法人日本栄養士会の認定を受けた機能強化型認定ケア・ステーションです。
今回のプロジェクトは、嚥下障害のある方にとって外食を楽しんでもらえる機会をつくる素晴らしいプロジェクトだと思います。
プロジェクトを通じて地域を盛り上げていきましょう！応援しています！（担当：安田　圭吾）




ご覧いただき、誠にありがとうございます。
今回のプロジェクトはカムカムスワローのスタッフだけでなく、近隣の様々な方のご支援により成り立っております。
このラウンドファンディングを通じて、さらに多くの方に我々の活動を知っていただき、新たなご縁ができることを楽しみにしています。

宜しくお願い致します。




カムカムスワローInstagram：＠come_come_swallow
 

＜募集方式について＞

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

<プロジェクトへの寄附について>
本プロジェクトへのご寄附は、税制上の優遇措置の対象ではありません。

＜適格請求書（インボイス）としての領収書の発行について＞
本プロジェクトの事業者は、適格請求書（インボイス）発行事業者ではありません。